第9回「子どもの発達とお手伝い」
小児神経科医
植松有里佳
こんにちは。私は宮城県仙台市で、5歳の娘と共にヴァイオリンをご指導いただいております。小児科医として神経疾患や発達障害などを専門に診療しており、発達支援の現場で感じている子ども時代に大切なことについて毎月お届けしています。今回のテーマはお手伝いです。小さい時に「お手伝いしてえらいね」と褒められた記憶がある親御さんは多いのではないでしょうか。どうして「お手伝い」をすることは良いことなのでしょう。子どもの発達とお手伝いについて、考えてみたいと思います。
お手伝いはいつからできるのか?
指示を理解して、真似したり、行動できるようになる、だいたい1歳半頃からお手伝いが可能です。「新聞を取ってきて」など、一言だけの内容です。
2歳頃になると「絵本を本棚にしまって」という二つ以上の単語が出てくるものも理解して行えるようになります。
4歳頃になると「ご飯だよ」と言うだけで、ランチョンマットをテーブルに並べたりすることもできるようになります。子どもの発達に応じてやれることが複雑になっていきます。
しかし4歳では、その後引き続いて、お箸を並べたり、食器を運んだりする一連の流れを一気にやり遂げることはできません。その後小学生になれば、もう十分に段取りが必要なお手伝いができるようになっていきます。
お手伝いのやり方
お手伝いというと、家事などを子どもにやらせることをイメージされるのではないかと思います。しかし、子どもにお手伝いをさせる時、最初は必ず親御さんとお子さんが一緒にやるということが大切です。
まず初めに親御さんがやり方(お手本)を見せて、その次に一緒にやって、それからやらせてみるという手順です。
プロフィール
植松有里佳
5歳の女の子の母。小児科医。専門は小児神経学で、神経難病からてんかん、発達障害まで幅広く診療している。
第4回の記事に寄せられた質問への回答から、思春期に向かう子どもたちにとって、あるいは親自身が何を指針とするべきかのヒントが示されています。
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