第8回「自立と自律」
小児神経科医
植松有里佳
こんにちは。私は、宮城県仙台市で、5歳の娘と共に、ヴァイオリンをご指導いただいております。私は、神経疾患や発達障害などを専門に診療する小児科医をしており、発達支援の現場で親御さんからご相談を受ける中で感じたことを含めて、子育てに少しでもお役に立つことがあればと思い、お届けしています。今回は、第4回「子どもの発達、思春期」について、いただいた以下のご質問に対する私なりの回答をさせていただきたいと思います。
<いただいたご質問>
「いつも楽しく拝読しています。私も小児科医をしていますが、自分の子の事となると冷静に対応できず、親として情けないばかりです。
今回の先生の記事に関して、ご意見を頂戴したいです。我が家も子どもが思春期と呼ばれる年齢に差し掛かってきました。まだ明らかな自立とまでは至りませんが、徐々に自分の意見をハッキリと言えるようになってきました。
先生のご指摘の通り、思春期は自分で失敗してそこから立ち上がっていく力を養う時期だと思いますが、そのままラクな方に流れていってしまったり、取り返しのつかないことが起こってしまう事が心配です。
そうならないために親が目をかけていることが必要だと思いますが、手を出しすぎてはならない。しかも共働きだと目をかけることすらも満足にできない場合があります。このようなときはいつも、自分がフルタイムで働いていることを自分自身で責めてしまいます。
先生もお仕事でお忙しくされているかと思いますが、対策としてどのような方法をとられていますでしょうか? 参考にさせていただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。」
ご質問いただき、ありがとうございます。正直に申し上げまして、私も同じことをよく考えております。対策はこうです! というような明確な回答は出せませんが、このご質問の中には、思春期の課題についての大事な要素があるように感じました。
プロフィール
植松有里佳
5歳の女の子の母。小児科医。専門は小児神経学で、神経難病からてんかん、発達障害まで幅広く診療している。