2.「目標設定」を深掘りする
こんにちは。Fruitful編集部です。
何か新しいことに取り組んだり、あるいは今実際に取り組んでいることをさらに上達させたいと思うとき、「こんな風になれたら良いな」「ここまで出来るようになりたいな」という目標を設定することは、皆様も普段から良くしていることだと思います。
しかし、その目標の設定の仕方次第で、成果や伸びが変わるかもしれないということは、あまり考えないかもしれません。
今回のスズキ的LifeHucksは、勉強、トレーニング、スキルアップなどに大事な要素である「目標設定」について、スズキ的アプローチをご紹介したいと思います。
模範、手本を定める
目標を考えるとき、どのような状態を目指したらよいか具体的に「モデル」を定めることは非常に有効です。ただ闇雲に事を進めるよりも、完成予想図が思い浮かべられる状態の方が、向かうべき方向性がはっきりします。
例えば語学の発音学習であれば、当然ネイティブの発音がモデルとなりますし、楽器の習得であれば、お手本の演奏を繰り返し聴くことがそれに当たるでしょう。食べたことのない料理をレシピだけ読んで作るよりも、本物の味を知っていれば、完成したものがどれほどの出来栄えなのかが良くわかります。
頭の中で、ゴールとなる状態がはっきりとイメージできるようにすることで、今の自分の出来具合や状態と照らし合わせ、必要な修正を図っていくことも可能になるわけです。
身近な目標を持つ
自分の身の周りにいる人を目標に頑張ることは良くあることです。家族をはじめ、部活やサークル、アルバイト先の先輩、職場の上司、コーチや先生などなど、ちょっとした憧れ的な身近な存在は、助言を与えてくれる機会も多く、とても良いお手本として心の中に存在し、メンターにもなってくれます。
壁にぶつかっても、直接に適切なアドバイスをもらうこともでき、先輩の過去の経験談を道しるべにして、事前にトラブルを避けることもできるでしょう。まるで、自分の手元や足元を照らしてくれる、明かりのような存在です。
大きな目標を持つ
同時に、大きな目標を持つことも大切です。最終的に目指すべき遠い目標があることで、自分はどこを目指し、どちらの方向に進むべきなのかを知ることができます。こちらは遠くに見える灯台の光のような存在と言えるかもしれません。
その道のプロフェッショナルや達人の繰り出すよどみのない動きや、この上なく巧みな技術を参照することはまた、大きな刺激にもなります。最高峰を常にお手本として見聴きし続けることで、知らず知らずのうちに、少しずつその動きやパフォーマンスの高さを吸収していくものです。

2つの距離感の目標を同時に持つことが大切
上に挙げた2つの距離感の目標を同時に持つことが、大きなメリットをもたらします。
もしもどちらか片方の目標しか持たなかった場合の、よくある失敗例を考えてみましょう。
まずは身近な存在のみを目標としてしまった場合、その身近な存在が既に達人級のレベルの方であれば話は別ですが、多くの場合、先輩や上司は「自分より少し出来る人」でしょう。そうした場合ありがちなのが、その人の良いところだけでなく悪いところまでもすべて受け入れてお手本にしてしまうケースです。
「あの人もやっている」ことであれば、あまり良くないことでもついつい真似してしまいがちですよね。ちょっとした手抜きやショートカットなども、当たり前かの様に受け入れてしまいます。
反対に遠くの目標だけを持ってしまった場合は、ときどき現在の自分とのギャップに愕然としてしまい、モチベーションが下がって、せっかくの取り組みを投げ出したくなったり、挫折してしまうことすらあるかもしれません。
そんな時でも、2つの距離感の目標を同時に持つことで、現状に慢心することなく、上手に自分の現在地を測ることができるでしょう。
目標設定にも段階(ステップ)を設ける
自分があるレベルに到達したと思ったら、あるいは周りからそう認められてきたら、いつまでもそこに留まらず、次のレベルの目標を設定しましょう。
今の自分より少し上のレベルの集団の中に飛び込むのも良いかもしれません。あまり極端にジャンプアップしてしまっては危険ですが、着実なステップを踏めば、そこにまた新しい目標や「モデル」となる存在が見つかり、大きな刺激を受けることでしょう。
繰り返しを深掘りした時にもお話ししましたが、同じことの単なる繰り返しは惰性で雑になってしまう危険性があります。常に「より良き一回」を志向しつつ、条件が整ったら、いざ次のステップへと踏み出しましょう。
本当の効率の良さを考える
昨今、何でも時短で簡単に出来ることが、さも「効率」が良く、賢い選択であるかのように思われがちです。
しかし、本当に効率が良い状態とは、全く同じことがより短時間あるいは低価格で出来ること、もしくは時間的、価格的なコストが同じならば、より高度に出来るようになることのはずです。
つまり、短時間で出来ても完成度が低かったり、楽なやり方に思えても身につくものが薄いのであれば、それは効率が良いと言ってはいけないはずなのです。
音楽で例えるなら、一曲を真摯に練習する過程で動きに無駄が無くなるからこそ、より速く正確に演奏できるのであって、ミスタッチを繰り返しても無視して速く弾き飛ばしたり、ましてや本来弾くべき小節をスキップしてショートカットた結果、演奏時間が短くなったとしても、それが「効率」が良いなどと言えるはずがありません。
しかしついつい、見かけ上の「効率」の魔力に憑りつかれて、自分のレベルを低いままにしてしまうことがあります。また、そんな状態を『「効率」が良い』といって肯定し誤魔化してしまいがちです。そんなものを目標にしていては次のレベルには到達できません。
もしも追求するなら、本当の効率の良さです。その高さを目指すことは、きっと良い目標となり、自分を次のレベルへと導いてくれるでしょう。
そのためには自らを訓練する姿勢を常に持ち続ける必要があります。
たしかに表計算アプリのキーボードショートカットを覚えたりすることは、手順の簡略化につながります。あるいは生成AIに頼ることも可能です。これらを手際よく扱えることもまた技術のひとつと言えます。
しかしながら、それらを活用して手に入れたもので、あなた自身の思考や技術は高まったのかをよく考える必要がありそうです。
さて、スズキ的目標設定の秘訣、いかがでしたでしょうか?
是非また、今回の視点をあなたの生活の中に取り込んで実践してみてください。
目標の設定の仕方で、出来栄えに違いが出てくることが実感できるかもしれません。
「イイナ」と思ったら、即実行をお忘れなく!
では、また次回まで。

学習法としてのスズキ・メソードを、日常の中に活かしていく方法をご紹介するシリーズ。今回は、スキルアップの王道「繰り返し」について、スズキ的アプローチを考えてまいりましょう!

学習法としてのスズキ・メソードを、日常の中に活かしていく方法を探してご紹介してまいります。初回は、特別編として新しいことへのチャレンジを、スズキ的に考えていきましょう。