スズキ的LifeHacks ~生活の中にスズキを~8
8.「アドバイス」を深掘りする その1:親子編
本来なら勉強や楽器の練習をしてほしい時間なのに、お子さんがなかなかそれに向かおうとしない……。そんなとき、つい口走ってしまう「早くしなさい!」という言葉。
日常の中でどうしても避けては通れない声がけですが、何度も連発しては親も子もストレスが溜まってしまいますよね。
子どもが小さいうちは、大人の目から見ると造作もないことでも、高く聳(そび)え立った壁のように見えていることも少なくありません。そんなとき、感情的に急かすのではなく、親の「視点」を少しだけ変えてアプローチしてみませんか?
今回は、日常のちょっと苦手な時間を楽しい時間へと変える声がけの仕掛けや、やる気を引き出す「スモール・ステップ」の作り方など、科学的なアプローチにも裏付けられた、今日から実践できる、アドバイスの『スズキ的LifeHacks』を深掘りしてお届けします。
親の笑顔は子の笑顔、子の笑顔は親の笑顔
そもそも、お子さんが小さければ小さいほど、何かに取り組む際にモチベーションとなるものは何かを考えてみましょう。
取り組む対象となるものの「面白さ」が一番のモチベーションとなるのはもちろんのことですが、忘れてはならないこと、それは親子で一緒に時間を過ごし、それによってみんなに笑顔があふれ、「楽しいね!」が共有できることです。
もしも一人だったら難しくて乗り越えられないかもしれないことでも、親子で一緒に立ち向かうことで、それを乗り越えた時の喜びも倍増し、「できた!」「やった!」を味わい、お互いに笑顔になる。
お子さんは、親御さんの笑顔が最高の喜びとなり、親御さんも、お子さんの笑顔が最大の幸せとなります。
勉強でも習い事でも、特に初歩段階においては、まるで謎解きを一緒に楽しんでいるかのように対象に取り組むことで、心のハードルがグッと低くなることでしょう。場合によっては、最高の時間となるかもしれません。
まずはその「楽しさ」というベースがあること、あるいはそれを盛り立てることで、ポジティブな感情が生じます。
その前提があれば、お子さんにもきっと、アドバイスを聞き入れるための素地が出来上がります。

スモール・ステップにして困難も乗り越えやすく
大人の目から見ると造作もないことであっても、お子さんの視点に立つと「高く聳え立った壁」であることも良くあることです。
そんな時は、小さな口に入るようにおかずを細かく切ってあげた時のように、学習対象も小さく分解して提示してみましょう。
体の動作を伴うものであれば、基本の基本となる動きのみを取り出したり、一続きの動きをさらに分割したりして、それを本当に習熟するまで繰り返してみます。「じゃあこれだけやってみて!」「上手になったね、次はこれも足してみよう!」という要領です。
ポジティブな声がけを!
一つのことに一所懸命に取り組み、まがりなりにも結果が出たら、それを思いっきり褒めましょう!
しかしそれは、偽りであってはいけません。言葉だけの適当なものでは、すぐにお子さんに見抜かれてしまいます。
出来たことに対して、たとえそれがどんなに些細なことでも、その成果を肯定し認める行為、それが「褒める」ということです。
このようなポジティブな声掛けは、安心感を生み、もっと良くなりたいという向上心にもつながります。
肯定文での言葉がけを!
同じことを伝えられるなら、禁止や否定を表す「否定文」よりも、実際にしてほしいことを直に言う「肯定文」の方が効果が高い場合があります。
何故なら日本語はネガティブな表現をするとき、それが文末になるまで否定か肯定かが分からないため、たとえば「真っ赤なバラを想像しないでください」と言われても、「真っ赤なバラを・・」と言われた時点で既に頭にそれを思い浮かべてしまいます。
「今日は6時まで動画は見ないでね」などと言われてしまうと、動画のことを考えないわけにはいかなくなってしまうわけです。
そういった文法上のトリックがあってもなくても、否定や禁止が並べられると過剰に反応してしまうのが人情です。
ましてや、「勉強しないと〇〇してあげない」のような言動は、行動に喜びが伴う訳がありません。
報酬は要注意
じゃあ反対に「勉強したら○○してあげる」はどうかというと、これも危険です!
報酬があるから勉強する、ということは、報酬が無ければ勉強しない、ということにもつながります。
以前、タブレット学習の教材に取り組んでいるお子さんがいました。
問題を解き終わった後に出てくるちょっとしたゲームが楽しくて、それ目当てに課題に取り組んでいたのですが、同じ問題を何度解いてもゲームの続きが出来ることが分かり、答えを知っている同じ問題を何度も秒で解答してはご褒美のゲームだけをどんどんとクリアし、もうゲームに続きが無くなったところで、もうタブレットに触れることも無くなってしまっていました。
勉強して知識やスキルを身につけることを喜びとするはずが、目的がいつの間にか報酬であるゲームにすり替わっていた、という訳ですね。本末転倒です。
視点を変えて、楽しめる工夫を!
子どもが小さいうちは、どんなことでも拙く、また考えるスピードや切り替えも当然大人に比べて遅いため、何でも時間がかかります。そんなときについ出てしまう「早くしなさい!」ですが、連発してしまっては効果も薄れてしまいますね(日に日に声の大きさと怒りは増大していきそうです)。
そんな時には、視点を変えて声がけしてみましょう。
服のボタンをかけるのがまだ得意ではない子には、「〇〇ちゃんは上からかけてね! お母さんは下からかけるから、どっちが多くかけられるか競争ね!」といってお母さんはお子さんの服の下の方から、お子さんは上の方からボタンを留めていって、楽しみながらボタンを留める練習をしたり、歯磨きをじっくりするのが苦手なお子さんには、短い音楽をかけて、その時間は曲のリズムに合わせて歯を磨いたり・・・こうした工夫で、ちょっと苦手な時間が、楽しい時間に変化します。
あるいは、もう少し大きくなったら自宅学習の際に「今日は10分で何問解けるかな?」も楽しいですね。最高記録を塗り替えられたときは、一緒に大喜びしましょう!

いったん、気が済んだ状態に
もしも、「先にこれがやりたい!」など、何かにどうしても固執するときには、ある程度まで気が済むように、一旦それに少しだけお付き合いするのも場合によっては良いかもしれません。
何かに固執してしまって、それが頭から離れなくなり、本来やるべきことが手につかなかったり頭に入らなくなるよりも、切り替えがうまくいく場合があります。
ただし、時間を割く分量にはお気を付けください!
お子さんのパーソナリティの変化や成長段階を理解する
さて、親子の間には、第3者が割って入ることができないほどの信頼関係と、言葉を交わさずともお互いが理解し合えてしまう以心伝心のようなものが存在すると思います。
特に幼児期から小学生頃までは、親子の関係は非常に強く、上記の関係が良好に成立していることが多いですが、中学生になる頃、思春期に差し掛かると、この関係にそれまでは無かったステージが訪れます。
親の呼び方、自分の呼び方に変化が生じたり、それまで興味のなかったもの、例えばファッションなどに興味を持ち出したりして他者の目を気にしたりと、周囲の友達や学校での付き合いなどに応じて、考え方や行動に変化が見られるようになります。
家の中など、誰の目も気にすることのない空間であればそれほど問題はないのですが、家の外で第3者の目を感じる時には、例えば「〇〇ちゃん」などの家庭内での呼び方などに対して嫌悪感を覚えたり、家と同じようにお子さんと接することでバツが悪くなりお子さんが怒ってしまったり、といったことも起こり得ます(親世代ももれなく経験したことでしょう)。
そういう経験を積み重ねてしまうと、その年代の子たちには只でさえ届きづらい親のアドバイスが、ますます耳に入らなくなります。
お子さんの成長段階や場面に合わせて、声掛けの仕方もバリエーションが必要かもしれません。
いかがでしたでしょうか?
皆さんの普段の生活の中にも当てはめられそうなことはございましたでしょうか?
スズキ的「アドバイス」のアイディアが、共有できましたら幸いです。
もしも「イイナ」と思ったら、早速実行をお忘れなく。
ではまた次回まで。

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