第2回 メタ認知と学び
東北大学
認知行動脳科学
細田千尋
教え上手?!
「あなたは教えるのが上手いと思いますか?」
この質問に、先生方は何と答えるでしょうか? あるいは、みなさんが習っている先生(音楽にかぎらず!)は何と答えると思いますか?
逆に先生方が、教えている生徒さんたちに、
「あなたは、その楽器を弾くのが上手いと思いますか?」
と聞いた時に、それぞれなんと答えるでしょうか。
人は自己評価が高くなる傾向がある
大学の先生にこの質問をすると、約8割の先生が自分の教え方が上手い、と回答する事を示した研究があります。同様に、運転をする人に、「運転が上手いですか?」と聞くと、大半の人が自分は運転が上手い、と答えたそうです。
上手い、と回答した人の中には、本当に上手い人と、上手いと思っている人が混ざっている事は容易に想像がつきます。
この研究が示す様に、人が自分の事を肯定的にとらえる傾向は、心理学の中ではよく知られている現象です。おそらくこれは、人がポジティブに頑張って生きていくために必要な能力でもあるかもしれません。
ただし、良い事ばかりではありません。
メタ認知の必要性
プロフィール
細田千尋
東北大学 加齢医学研究所 認知行動脳科学研究分野 准教授。
東北大学大学院情報科学研究科 准教授。
東京医科歯科大学博士課程修了。博士(医学)。内閣府主導ムーンショット型研究開発事業プロジェクトマネージャー、内閣府・文部科学省が決定した“破壊的イノベーション”創出につながる創発的研究支援研究代表者など複数の国家プロジェクトの研究代表を務める。International symposium Adolescent brain & mind and self regulation Young investigators Award June受賞、成茂神経科学賞受賞など受賞多数。仙台市学習意欲の科学的研究プロジェクト委員。PRESIDENT にコラム「脳科学で考える世の中のウソ・ホント」 を連載中。NHK 「思考ガチャ」、NHK Eテレ「バリューの真実」、日テレ「カズレーザーと学ぶ」などメディア出演多数。
近年、情操教育の大きな柱となっている「非認知能力」の強化について、最新の知見を脳科学者が共有してくださいます。子育てと教育に関する話題を1回1テーマでお届けする新シリーズです。