
脳科学から見る子育てと教育 6
東北大学
認知行動脳科学
細田千尋
受験シーズンも終盤を迎え、そろそろ結果が出始めている人もいることでしょう。今回は、脳科学や心理学の研究結果から、「受験」について考察してみたいと思います。
本番に強い人と弱い人の違い
「これまでやってきたことを本番で発揮するだけ!」――多くの人がそのような気持ちで試験に挑むと思います。しかし、試験本番で実力を発揮できる人と、そうでない人の違いには、心理的要因や脳の働きが関係していることが研究から明らかになっています。
フランス国立科学研究センターの研究によると、プレッシャーが強い状況下では、不安が高い人ほど注意力が「心配事」に奪われてしまい、認知負荷の高いタスク(複雑な計算や論理的推論など)でパフォーマンスが低下しやすいことが示されています。不安や心配に気を取られると、それらがリソースを消費してしまい、試験本番で必要な認知機能をうまく発揮できなくなるのです。
一方、プレッシャーに強い人は「成功体験のイメージトレーニング」を多用していることが分かっています。彼らは過去の成功体験を思い出すことで自信を高める傾向があるのです。
プロフィール
細田千尋
東北大学 加齢医学研究所 認知行動脳科学研究分野 准教授。
東北大学大学院情報科学研究科 准教授。
東京医科歯科大学博士課程修了。博士(医学)。内閣府主導ムーンショット型研究開発事業プロジェクトマネージャー、内閣府・文部科学省が決定した“破壊的イノベーション”創出につながる創発的研究支援研究代表者など複数の国家プロジェクトの研究代表を務める。International symposium Adolescent brain & mind and self regulation Young investigators Award June受賞、成茂神経科学賞受賞など受賞多数。仙台市学習意欲の科学的研究プロジェクト委員。PRESIDENT にコラム「脳科学で考える世の中のウソ・ホント」 を連載中。NHK 「思考ガチャ」、NHK Eテレ「バリューの真実」、日テレ「カズレーザーと学ぶ」などメディア出演多数。近著に「脳科学が教える 一瞬で心をつかむ技術(PHP研究所)」


人間同士の関わり合いにおいて重要な能力、コミュニケーションスキル。学業や社会生活、習い事の熟達にも影響するコミュニケーションの力を、子どものころからどう育てていくのかを考えます。

前回に引き続きワーキングメモリに関する研究の現在地を示します。ワーキングメモリのトレーニングにはどのような可能性があるのか、他の能力への好効果はどれほど期待できるのか、練習や学習の目的をどこに定めるべきか…ご一緒に考えてまいりましょう。

人の能力や可能性を様々な視点や角度から解説するシリーズの3回目。今回は、知能や他の能力とも密接に関係する、ワーキングメモリについて、まずはその働きと仕組みを学びます。

近年、情操教育の大きな柱となっている「非認知能力」の強化について、最新の知見を脳科学者が共有してくださいます。子育てと教育に関する話題を1回1テーマでお届けする新シリーズです。



